ブロックチェーン・NEM・Symbolを活用して目指すところ
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ブロックチェーン・NEM・Symbolを活用して目指すところ

タグ
Symbol
公開日
November 19, 2019

Opening LineはNEMブロックチェーンを活用したサービスの開発、実証実験及びセミナーのサポートを行っている日本でも数少ない企業です。

この記事ではブロックチェーンやNEM及びその次期バージョンSymbolについて簡単に解説し、Opening Lineがこれらを活用してどのようなことを目指しているかを紹介します。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは分散台帳技術で、取引などの履歴データを分散して保持する仕組みです。

特にパブリックチェーンにおいては特定の管理者が存在せず、分散して稼働しているため、「ダウンタイムがない」、「データを改ざんすることが困難」、「誰でも検証可能」という特徴を兼ね備えています。

NEMとは

NEMは2015年3月に誕生したブロックチェーンです。

プラットフォーム型のブロックチェーンで、マルチシグアカウントやモザイク機能といったブロックチェーンにあると便利な機能をネイティブに備えており、これらの機能はAPIアクセスやSDKを利用することで安全に容易に利用することができます。

モザイク

モザイクはNEM上でトークンを発行・流通させることができる機能です。

発行量や第三者への譲渡の可否などを設定することができ、ポイントやチケット、投票権などニーズに応じたトークンを発行することが可能です。

モザイクの活用事例

弊社でリリースしている歩いたり・特定のスポットに行くとポイントがもらえるサービスFiFiCはモザイクを利用しています。(※2021年2月現在サービス縮小に伴いこの機能を提供してません)

モザイク機能によって、地域やイベントに応じたポイントも容易に発行することができ、健康促進はもちろんのこと、地域やイベントの活性化にも貢献することができます。

マルチシグアカウント

マルチシグアカウントではあらかじめ定めた複数の連署人アカウントの署名がないと送金などの操作を行うことができません。

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これにより会社における社員による内部不正などからアカウントを守ることができ、アカウントのセキュリティを高めることができ、組織内のワークフローを整えることが可能です。

またマルチシグアカウントの連署人は後から変更することが可能で、これを応用することで権利の共有や譲渡を表現することも可能です。

マルチシグアカウントの活用事例

弊社が支援している知的障がい者の買い物支援アプリ「3ステップウォレット」ではマルチシグアカウントを活用しています。

知的障がい者の買い物においては、後見人の承認が必要となり、また実際に買い物をする際も付添人が必要となるなど、このフローによって買い物をしたいと思ってから、実際に買い物に至るまで1ヶ月かかってしまうケースも発生しています。

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3ステップウォレットではマルチシグアカウントを利用し、後見人の承認と決済を同時に行うことを実現し、福祉施設における実証実験も実施しております。

Symbolとは

SymbolはNEMの次世代コアエンジンでNEMのコンセプトを継承しつつ、一から再構築されています。Symbolによって性能の向上機能の強化され、より安全で使いやすいブロックチェーンに進化しています。

強化される機能

Symbolではよりエンタープライズ用途で使えるように利便性や安全性を強化した機能が追加されます。ここでは一部の機能を紹介します。

アグリゲートトランザクション

アグリゲートトランザクションでは複数のトランザクションをひとまとめにして扱うことができるようになります。

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上記の様な複雑な取引も3者の署名が揃うまでは実行されず、また揃った瞬間に実行されるため、関係する取引が全て成功するか失敗するかのいずれかになります。

これにより取引ミスや持ち逃げのリスクを抑え安全な取引を実行することが可能となります。

マルチレベルマルチシグアカウント

初期バージョンのNEMではマルチシグアカウントを1階層しか組むことができませんでしたが、Symbolではマルチシグアカウントを階層化することができるようになります。

これにより、今までより柔軟にワークフローを構築することができるようになります。

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アカウント制限

アカウント制限は、アカウントの安全性を高めるためにアカウントに制限を加えることができます。

アカウント制限では以下の様な制限を加えることができます。

  • 通貨やモザイクの送信を受け入れる送信元アカウントを制限
  • 受け入れる通貨やモザイクの種類を制限
  • 通貨やモザイクの送り先アカウントを制限

その他の追加機能・Symbolの詳細について

Symbolで追加された機能や技術的な詳細はSymbol Developer Centerを参照してください。

パブリックチェーンとプライベートチェーン

NEMはパブリックチェーンですが、同じコアエンジンを使用しているプライベートチェーン製品としてmijin(※)があります。

パブリックチェーンとプライベートチェーンには大きく以下の様な違いがあります。

(※)mijinはテックビューロホールディングス社の製品となります。

パブリックチェーン

  • 誰でも参加できる
  • 特定の管理者がいない
  • 改ざんが困難
  • 恒久的記録が可能
  • 低出力

プライベートチェーン

  • 限られた人のみが参加可能
  • 特定の管理者(集団)が存在する
  • 特定の管理者(集団)がいる限り恒久的記録が可能
  • 高出力
  • ネットワークに応じたカスタマイズが可能

パブリックチェーン or プライベートチェーン

パブリックチェーンは誰でも参加することが可能で、この記録を追跡することも可能なためプライバシーの懸念から避けられ、プライベートチェーンが好まれる傾向があります。

しかしながら、ハッシュ化されたデータのみを保存し、個人情報などのデータはブロックチェーン外に保存するなどの工夫をすることで、企業ユースでもパブリックチェーンを利用することは可能だと考えます。

また、高速な性能が求められない環境下においてはパブリックチェーンの方がコストがかからず、スモールスタートしやすいので、一概に決めるのではなく要件に応じて選択するのが良いと考えます。

Symbolのパブリックチェーンとプライベートチェーン

この節の冒頭でも触れましたが、Symbolではパブリックチェーンとプライベートチェーンでは同じコアエンジンを共有しています。

そのためアプリケーションレベルでは、パブリックチェーンとプライベートチェーンの切替を比較的容易に行うことができます。

Symbolではパブリックチェーンとプライベートチェーン間でトークンを交換する機能も兼ね備えられており、パブリックチェーンとプラベートチェーンの両方のメリットを活かした利用の仕方も可能です。

またプライベートチェーンの存在をパブリックチェーンにアンカリングすることでプライベートチェーンの信頼性を向上させる工夫も可能です。

パブリックチェーンとプライベートチェーンは相反するものではなく、工夫の仕方によってお互いを補完するができると考えます。

NEM・Symbolを使う理由

ここまでNEM及びその次世代コアエンジンSymbolについて解説してきましたが、NEM・Symbolは企業や個人がブロックチェーンを使うにあたり、どのような機能があると便利か、そして以下に安全にかつ容易に使えるかを考慮して作り込まれています。

これによりブロックチェーンの恩恵をより多くに人に提供できると信じています。

NEM・Symbolでできることは、他のブロックチェーンプラットフォームでも実現することは可能です。しかしながら、それには個々がそれらの機能を自分で実装する必要がある場合もあります。そして、これは多くのコストや安全性を犠牲にする可能性もあります。

NEM・Symbolは自分で機能を作ったり、拡張することはできませんが、その分、Symbolチェーンにあると便利な機能がネイティブに備わっており、それを安全に容易に使用することが可能です。

よく、なぜブロックチェーンを使用する必要があるのという疑問 が出てきますが、NEM・Symbolはそれらを実際にプロトタイプを作って検証することもできますし、社会的な課題の解決や新たな価値を発掘するサービスを素早く作ることができます。

Opening LineがNEMを活用して目指すところ

Opening LineではFiFiCや3ステップウォレットといった自社サービスの開発のみならず、近畿大学を始めたした企業や団体のNEM/mijinを使用した実証実験・サービス構築・サポートを行って参りました。また、一部のプロジェクトでは早い段階からSymbolを使用し、パブリックチェーンでのリリースを前に、そのノウハウを蓄積しています。

これらの取り組みは多くは、企業や団体、社会の課題を解決するためのものが多く、今後もブロックチェーンの力によってよりよい社会で実現できるよう日々取り組んで参ります。

お問い合わせについて

NEM/Symbol/mijinを使ったブロックチェーンを使ったサービスの構築についてのお問い合わせは以下までお願いします。

担当 佐々木: info@opening-line.co.jp